便秘の定義
便秘の定義はハッキリとは決まっていませんが、排便が週に3回未満であることが一般的な「便秘」とされる状態です。
また、排便に苦痛や不快感がともなう場合も「便秘」というカテゴリーに入ります。
日本では、女性のおよそ4.9%、男性のおよそ2.6%の方が便秘を自覚していると言われています。
1日に1回以上排便がある人は、50%に満たないというデータもありますので、意外とスッキリとしてない方が多いようです。
便秘の種類
便秘には、がんなどの病気や薬の副作用が原因で起こる「器質性便秘」と、生活習慣などから排便システムに障害が出る「機能性便秘」があります。
一般的に起こる便秘は後者の「機能性便秘」です。前者の場合は早めに病院へ行きましょう。
機能性便秘には、弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘、とがあります。
弛緩性便秘は、高齢者など筋力の低下などにより、腸の運動が落ちることに起こります。(便が硬くなるタイプ)
痙攣性便秘は、下剤の常用などにより、腸がひきつった状態になり起こります。(コロコロ便タイプ)
直腸性便秘は、排便を我慢することなどにより、反射作用が低下して起こります。(下っ腹ぽっこりタイプ)
便秘の原因
腸内環境が整っていれば、朝、空腹時に食事をすると「胃-大腸反射」という作用が起こり、腸の蠕動運動が活発になり排便に至ります。
また、起床時に立ち上がることにより起こる「姿勢-結腸反射」というのもあります。朝食前に排便したくなるのはこちらです。
さらに、便が直腸に達すると「直腸-結腸反射」が起こり、大脳が排便させようと腸に信号を送ります。
このように反射による排便システムが人には備わっており、きちんとした生活を送っていれば自然と1日1回排便できるようになっています。
しかし、腸自体の蠕動運動能力の低下、便を押しだす筋肉の低下、腸内環境の悪化や食物繊維の不足、水分不足やストレスなど様々な原因によって、この排便システムが機能しなくなり、便秘となります。
特に、日常的なストレス、食生活の乱れにより自律神経が乱れると、便秘になる傾向が強くあります。(旅行や短期入院などでの一過性の便秘もこのタイプです)
便秘の方の腸内は言わば「腐敗」状態となっています。それに対し、排便が毎日ある方の腸内は「発酵」状態。同じ腐っている状態でも大きく違うのです。
いずれにしても「出るものが出ない」状態は非常によくありません。
まずは日常生活をしっかり省みて、自律神経と腸内環境を整える必要があります。
便秘の鍼灸治療
便秘には、鍼灸・マッサージの治療は昔からとても有効です。
鍼灸治療では、腰や仙骨部の腸に関するツボや、お腹のS状結腸にあたる部位などに鍼をしたり、手首の便秘のツボにお灸をしたりします。
あわせて、自律神経を整える鍼灸もおこないます。
指圧では背部の腸のツボをしっかりと押圧し、お腹をマッサージします。大腸の経路に沿って(盲腸⇒上行結腸⇒横行結腸⇒下行結腸⇒S状結腸)マッサージして、排便を促します。
便秘が慢性化されている方は、治療後に排便があっても、何度か治療をして排便のクセをつけたほうが良いでしょう。
生活習慣を変える
いくら鍼灸などで治療をしても根本的な原因が日常生活にある場合は、排便があっても解決したとは言えません。
・便が出なくても、毎朝定期的にトイレで踏ん張り、排便のイメージトレーニングをする。
・朝食は食べなくても、水1杯だけでもお腹にいれる。
・洋式トイレで気張る時には、浴室で使うイスのような台に足を乗せ、身体の形を和式に近くする。
・植物性乳酸菌(豆乳ヨーグルトなど)や食物繊維(オリゴ糖、野菜や海藻など)を毎日適量摂る。
・化学的な添加物や薬の常用を避ける。
・腹筋のインナーマッスルやおしっこを我慢する動作、ラジオ体操などをして排便に必要な筋肉を取り戻す。
以上を気にかけて実践してみてください。
宿便は万病の元です! しっかり治しましょう!