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1月(睦月)の養生法 ~健康に過ごすために

二十四節気

 

《二十四節気》 ~ 小寒(6日)~ 大寒(20日)~

 

・小寒:寒の入りを迎えて寒さが厳しくなる頃。

・大寒:1年で1番寒さが厳しい頃。

 

小寒で冬の寒さは本格的となり、大寒の頃から最も厳しくなります。

 

年末の忘年会などでの暴飲暴食やお正月の食っちゃ寝生活で、1月は胃腸もかなり疲れており、胃もたれや胃のむかつき、体のだるさなどの症状が出てくる季節とも言えます。

 

しっかりと養生しないと、胃腸障害や糖尿、痛風予備軍となってしまいますので十分に気をつけましょう。

 

 

東洋思想の考え

 

東洋思想では、冬-腎-耳-髪-骨-寒-鹹(塩辛)-驚-黒……と関係が深いと言われます。

 

五味では、「腎」のために塩味をしっかり摂りましょう。塩は身体を温める効果もあります。

塩は、きれいな海でとれる100%天日干し製法の塩を選べば、ミネラルたっぷりで血圧への心配もありません。間違っても工場で大量生産されているサラサラの精製された食卓塩は使わないでください。沖縄の塩だから大丈夫!という考えも危険です。しっかりラベルをチェックしましょう!

 

 

しかしながら、塩に限らず摂り過ぎはなんでも禁物です。料理では適度に塩の美味しさを感じる程度にしておきましょう。

そこに酸味と苦味が加われば、この時期の身体にベストな組み合わせとなります。

 

食養生

 

この時期の食養生は、何はともあれ「少食」にすることです。

 

松の内最後の日の7日に「七草粥」を食べるという風習が昔からありますが、現代では、年末年始で疲弊した胃腸をお粥で労わる、という意味合いが強くあります。

 

脂身が多いものや肉類(特に牛)、酸化した油で揚げたもの、大量の炭水化物などは避け、胃腸が喜ぶものを選んで食べるようにしましょう。

 

 

食べ物では、保存食でもある漬物はこの時期には欠かせなく最適なものです。漬ける際の塩味と発酵後の酸味が混ざっています。

冬野菜を浸けることで身体を温める効果もあり、発酵による有用な酵母菌も摂れます。

カブの葉は苦味に分類されますので、カブを漬けるとよいでしょう。そこへ料亭で出て来るように、同じく苦味であるユズやスダチの皮を添えるのも乙な感じです。

 

 

この時期は寒さと乾燥でウィルスも活性しますので、免疫力を下げないことがとても大事です。

そのためには、ビタミンCとビタミンDを効率よく摂ることが必要です。旬のミカンやリンゴを食べ、ビタミンDを合成してくれる日光浴も積極的にしましょう。

 

 

冬の土用

 

さて、大寒の約3日前から節分までの約18日間が冬の土用となります。冬の土用は、冬から春への季節の変わり目となり、自然界も春の準備が始まります。

今年は1月17日から2月3日までとなります。

 

 

土用は東洋医学では甘味となりますので、それに塩味を加えるとベストです。

冬の甘みと言えば「甘酒」です。酒粕に少々の塩を加えると、スイカのように甘味が引き立ちます。

甘酒は市販のものですと白砂糖や人工甘味料がたっぷり入っていることがありますので、米麹を買ってきてヨーグルトメーカーや炊飯器を使用すると、家庭でも簡単に作れますのでお試しください。砂糖なしでも自然の甘みでとても美味しくいただけます。

甘みが少し足りないときは、純粋なオリゴ糖を使うと良いでしょう。

 

 

春の七草

 

日本の古き良き文化、「春の七草」について書きます。

 

 

春の七草「松の内」最後の日に当たる1月7日

 

江戸時代に「人日の節句」(七草の節句)として五節句のひとつに定められました。

 

五節句は、1月7日の人日、3月3日の上巳、5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重陽の5つです。

 

人日とは 「人の日」という意味です。前漢の時代の中国では、元日は鶏、2日は狗(犬)、3日は猪、4日は羊、5日は牛、6日は馬、7日は人、8日に穀を占って新年の運勢をみていました。

 

 

それぞれの日には、その動物を殺さないこととされており、1月7日の人の日は「人を殺めない」、つまり犯罪者に対する刑罰が行われない日となっていました。

 

さらに唐の時代には、この日に「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」という7種類の若菜を入れた汁物を食べて、無病息災を願うようになりました。

 

羹は熱いものという意味で熱い汁のことを指し、「羹に懲りて膾(なます)を吹く」ということわざもあります。

 

 

また、その時代には官吏昇進を1月7日に決めたことから、その日の朝に七種菜羹を食べ、立身出世を願ったと言われています。

 

これらの風習が奈良時代に日本へ伝わると、年のはじめに雪の間から芽を出した若菜を摘む「若菜摘み」という風習(百人一首にもうたわれており、新春に若菜を食べて邪気を払い病気を退散させるというもの)や、7種類の穀物でお粥を作る「七種粥」の風習などと結びつき、「七草粥」に変化していったと言われています。

 

そして、江戸時代に五節句のひとつに定められると、人々の間に徐々に定着していきました。

 

現代では、お正月の暴飲暴食で疲れきった胃腸をいたわり、野菜不足を補い栄養補給をするという意味合いが強く、それと同時に新年の無病息災を願うようになっています。

 

『七種』

・菘(すずな):「神を呼ぶ鈴」

~蕪(かぶ)のこと。ビタミン類が豊富。

・蘿蔔(すずしろ):「汚れのない清白」

~大根の古称。消化を助け、風邪の予防にもなる。

・芹(せり):「競り勝つ」

~香りがよく食欲が増す。

・薺(なずな):「撫でて汚れを除く」

~ペンペン草のこと。江戸時代には普通に食していた。

・御形(ごぎょう):「仏体」

~母子草とも。草餅の元祖で風邪予防や解熱に効果あり。

・繁縷(はこべら):「繁栄がはびこる(べら=群がる)」

~腹痛の薬に使用していた。

・仏の座(ほとけのざ):「仏の安座」

~別名タビラコ。タンポポに似ていて、食物繊維豊富。

 

※菘と蘿蔔は葉の部分を、薺は花芽を持つ前の若芽を使用する。

 

1年のスタートと同時に、無病息災・立身出世を願いながら七草粥を食べ、胃腸を労わり素敵で充実した1年にしましょう!

 

 

 

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