私たちの体は、膨大な数の細胞からできています。
ひとつひとつの細胞の内部には、細胞小器官(オルガネラ)とよばれる、それぞれが特別なはたらきをしている構造があり、ミトコンドリアはその中の1つです。
ミトコンドリアの役割
ミトコンドリアは、生命活動に必要不可欠な細胞のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)を合成します。
私たちの細胞は、核膜で包まれた核をもつ真核細胞です。(包まれないのは原核細胞)
はるか昔に、真核細胞の祖先の細胞に飲み込まれた細菌が真核細胞と共生してきたものが、ミトコンドリアと考えられています。
このため、ミトコンドリアは独自のDNA(mtDNA)をもっています。
核のDNAでは両親の遺伝情報が受け継がれますが、不思議なことにミトコンドリアのDNAには、母親のミトコンドリアDNAだけが受け継がれます。
ミトコンドリアの最も大切な働きはエネルギーを産生することですが、それは摂取した栄養素を分解して得られた小分子を用いて、アデノシン三リン酸(ATP)をつくることによって行なわれます。細胞の活動に必要なエネルギーのほとんどはミトコンドリアから供給され、全身で体重の10%を占めています。
ミトコンドリアの他の役割としては、
・活性酸素の産生
・アポトーシス(プログラム細胞死)の制御
・細胞内カルシウムイオンの調節
・免疫細胞が暴走する「サイトカインストーム」を抑える
などが挙げられます。
ミトコンドリアの機能が障害された病態をミトコンドリア病と呼びます。ミトコンドリアの機能が失われてエネルギー代謝障害を引き起こすため、ミトコンドリア病では、心臓障害、中枢神経系障害、筋力低下、腎障害、肝障害などの症状が現れます。
ミトコンドリアが活発に働いてくれることで、それぞれの細胞が生き生きと元気よく各自の役割を果たし、生命が維持されるのです。
ミトコンドリアを活性化するには
①有機酸
まずは、有機酸(果物などのクエン酸、お酢、乳酸)を摂ることです。昔から良く言われていますが、ミトコンドリア内でのエネルギー産生サイクルであるTCA回路をスムーズに回すと言われています。
②糖質(カロリー)制限
次に、カロリー制限(1日断食や糖質制限など)でケトン体を出すことです。ケトン体というのは、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンなどの物質の総称です。食材には含まれておらず、中性脂肪を原料に肝臓が作りだすものです。
基本的にエネルギーは食事で摂取した糖質を分解して作られますが、それがなくなると体内の脂肪を分解してケトン体を作りだします。ケトン体がミトコンドリアでエネルギー源となって代謝効率が良くなるのです。
また、飢餓状態(25%以上のカロリー制限)でサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)が活性化し、ミトコンドリアが増加することも分かっています。
③運動
また、運動でもエネルギー不足を感じてケトン体が作られます。
特に、有酸素運動の合間にやや強めの筋トレ(速筋を動かす)をはさむトレーニングによって、より効率よくミトコンドリアを増やすことができると言われています。
④オイル
普段使用するオイルをココナッツオイルに替えてみるのも1つの方法です。
ココナッツオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸(MCT)は、腸管で吸収されやすく、多くのオイルの様に腸管膜内で中性脂肪へ再合成されることなく、アルブミンと結合して肝臓に運ばれます。
さらに、カルニチンシャトルを介さずにミトコンドリア内に入ることができるため、ケトン体としてエネルギー源になりやすい脂肪酸と言えます。
⑤一酸化窒素(NO)
降圧作用があるとされる一酸化窒素(NO)もミトコンドリアを増強すると言われています。
このNOは、運動不足や不健康な食生活、加齢で減少していきます。
少し汗ばむくらいの運動や鼻でするハミングで増えると言われ、指圧や鍼灸などの表皮への圧刺激でも角質細胞からNOが産生されます。
元気のないサイン
落ち込みやすい方や、午前に頭がスッキリしない方はミトコンドリアが活性していない、セロトニン不足(幸せホルモン)の状態と言えます。
人の24時間周期のリズムを概日周期と言います。
通常、体内では朝はセロトニンが多く、夜はメラトニンが多く分泌されています。セロトニンは巷で言ういわゆる幸福ホルモン、メラトニンは睡眠促進ホルモンです。
その分泌量のバランスが睡眠と覚醒のリズムをコントロールしています。この概日周期に従って脳と体が働くことは、脳のミトコンドリアの働きぶりによって決まります。
セロトニンがしっかり分泌されて脳の働きが正常であれば、午後3時くらいまでは幸福感に満たされ仕事もはかどる状態にあります。
午前中に頭がスッキリしない、よくまわらないという人は、セロトニン不足の状態でミトコンドリアが活性化していないということになります。
また、セロトニンが減るとうつ状態になりやすいと言われているので、ちょっとしたことで落ち込みやすい人も要注意です。
このようなことを普段の生活の中で意識することで、ミトコンドリアが活性しているかどうかが分かります。
表面上の健康ではなく、細胞レベルで元気になることを意識して「真の健康」を手に入れましょう!

