ばね指(弾発指)
女性に多い症状の一つ「ばね指」。腱鞘炎が行き過ぎた状態です。
指を曲げるための腱(筋肉の端)は滑膜性腱鞘と言うなめらかな膜に包まれています。
また、腱はそれぞれの指の骨にくっついている靭帯性腱鞘というトンネルの中を通っており、そのおかげで外れることなく指をスムーズに曲げることができます。
パソコンやスマホ、育児などで指を使い過ぎることにより、このトンネルの中を腱が行ったり来たりし過ぎることで、炎症を起こすことがあります。
これがいわゆる「腱鞘炎」です。
この炎症を繰り返すことで、腱自体が厚くなったりトンネルが厚くなったりして、トンネル内で腱の通りが悪くなり、曲げ伸ばしに支障が出たり痛みが出たりするのが、「ばね指」と言うことです。
このように、痛みの理論はカンタンです。
ところが、この症状を訴えて来院する方のほとんどが女性です。
ですから、この疾患には「女性ホルモン」が大きく関わっていることが分かります。
出産後、更年期後に顕著に多くなります。リウマチも関係あるとされています。
女性ホルモン(テストステロン)の急変化で、関節を包む膜が弱くなると言われています。
更年期後に、指が腫れたり関節が変形したりするのは、ホルモンの影響と言えるでしょう。さらに、指を酷使するような仕事や趣味があるとなりやすくなると言えます。
さて、「ばね指」の治療ですが・・・
基本は、特定の指の使い過ぎが原因ですので、スポーツ選手と一緒で極力「使わないこと」です。当たり前ですが、休ませることが大前提です。
仕方なく使ってしまって、もし痛みが出たら、痛む所を10分位保冷材で冷やしましょう。
ばね指になったばっかりで痛みがひどいようなら、整形外科でステロイド注射してもらうのも選択肢の一つです。
掌側に打つ注射は無茶苦茶痛いですが…。その痛み以上につらいなら行ってみましょう。
もちろん、代替療法も効果はあります。
まずは酷使してしまった指を動かす筋肉を、鍼やマッサージでほぐしていきます。腕の筋肉が指を動かしているので、腕もしっかりほぐします。
指を使うと、肩甲骨周りに緊張が出るので、肩こりと同じくその辺りもしっかりほぐしていきます。
鍼のツボは、腱鞘炎で有名な「膈兪」です。
膈は横隔膜の膈で、背中にあるツボです。横隔膜のライン、肩甲骨の下に位置します。
ここにじっくりお灸をすえていきます。
ばね指の場合は、手のひらと指のジョイント部分にしこりができていることが多いですので、ここにもお灸をします。掌は敏感ですから、鍼灸の鍼でも痛いです…。だからお灸!
日常で指を使わないわけにはいかないので、ある程度治療とのイタチごっこにはなりますが、根気よく数回続けて治癒させます。
若い方でもスマホばっかりいじっている方、「ばね指」予備軍ですのでご注意を!