倦怠感 ~体のだるさ

倦怠感(全身のだるさ)

 

50代 女性 会社員(非常勤)

主訴:寝ても治らないだるさがずっと続いており、体に力が入らない感じで寝ても寝ても疲れが取れない。

 

中肉中背で、やや物静かな印象。疲れのせいか表情が曇っていて覇気がない。

昨年父親が他界してしまい、今年に入ると母親が入退院を繰り返すようになり、自分のこと以外で多忙な毎日。子供は手がかからなくなってきているが、仕事もしているので息が抜けない。

最近はまったく疲れが取れず、常に倦怠感がある。夜は寝れるが、朝起きても疲れている。肩こりは昔から感じており、こり過ぎて今の状態がどんなかよく分からない。足の冷えあり、のぼせ少しあり。

 

倦怠感が続く場合、糖尿病やがんの闘病中、薬の副作用等でなければ、仕事などによる精神的・体力的なキャパオーバーが原因です。

食欲低下や微熱が続く場合は、慢性疲労症候群にフェーズが移っている可能性もあるので、病院を受診しましょう。

 

疲れが取れないということは、体内に老廃物が溜まっている証拠です。特に、活性酸素と言われる細胞を酸化させる厄介な物質が溜まっている状態です。

通常は、この物質を処理する機能が人間には備わっていますが、活性酸素があまりにも多かったり、自分自身が弱っていたりすると、これを処理できずにどんどん溜まっていきます。最近では、がんにつながるとも言われています。(いわゆる細胞の酸化現象)

 

 

西洋医学的アプローチ

 

西洋医学的には、まず休むこと、寝て休養をとることが先決です。

進行すると、慢性疲労症候群やうつ病などになる恐れもありますので、軽視せずにしっかり休むことが大事です。

そして肝臓の働きを元気にすることです。肝臓は、疲労物質をはじめ様々な物質を代謝するとても大事な臓器です。サプリなども使って、ビタミン類とミネラル類をたっぷり摂ることが重要です。

肝臓に負担をかけないためにも、疲れている時にはお酒や激しい運動を控えることも必要です。

そして、起床や入浴、食事の時間など、規則正しい生活を送るよう心がけましょう。

 

 

東洋医学的アプローチ

 

…さて、来院されたこの女性。脈を診ると肝虚証(肝の気が充実していない状態)。

倦怠感の症状には、手足へのお灸も有効です。首周りや背骨の上にもお灸。

鍼灸で自律神経を整えてから指圧マッサージへ。自律神経の乱れがある時には、鍼灸と指圧の組み合わせがとても有効です。

疲れていらっしゃったのでしょう、治療途中で深い眠りにつかれた模様。

この女性の場合、マッサージを30分延長していただき1回目を終了。

身体が疲れ切って弱っているときは、あまり長く治療をすると、その後に激しい脱力感や微熱が出ることもあるため、ドーゼオーバー(治療の許容量)にならないよう気を付けながら施術しました。

施術する側の気持ちが入りすぎて、強い刺激を与えたり治療を粘ったりすると、そのあとの副反応も出やすいため、治療を終える引き際も大事です。

 

治療結果

 

1回の治療で、かなりスッキリされた模様。

施術直後には「ぽわ~ん」とされていましたが、帰る時には表情が明るくなり声もしっかりしていました。

 

後日、予約の電話をいただいた時に「次の日の目覚め方が違った」と嬉しい報告をいただき一安心。

1週間置きを2回 → 2週間置きを3回 → ひと月に1回を継続

というペースで通われています。

ひと月に1回が2~3か月に1回なることもありますが、それは元気な証拠…としておきましょう…。

でも、本当は忙しい時こそメンテナンスが大事!だと言うことを忘れてはいけません。

身体のサインを見逃さずに、しっかり労わってあげましょう。